公益社団法人 日本表面科学会

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会長からのご挨拶

会長 大門 寛

 日本表面科学会は、稀に見る素晴らしい学会です。1979年に設立されて以来、約40年に渡り、世界で唯一の表面科学に特化した学会として順調に発展してきました。少子化や産業構造の変化に伴って会員数が減少している学会が多い中で、日本表面科学会では堅調に会員数が増えてきています。その理由として、表面科学という分野が、化学、物理、分析、応用に渡って大きく発展していることが挙げられます。表面化学の歴史は1932年にノーベル賞を受賞したLangmuirの化学吸着の研究あたりから始まっており、2007年にはErtlがPt上のCO酸化など表面の化学反応の研究でノーベル賞を受賞していて、表面化学は触媒研究の基礎として今でも表面科学の主要分野となっています。表面物理分野でも、表面のみで起こる新奇な物性の探索が進み、Tcが100Kを超える表面一層のFeSe超伝導体の発見や、昨年2016年のノーベル賞であるトポロジカル物質のスピン流では、表面だからこそ起きる有用な新しい物理が大きく花開いています。表面分析手法は非常に多く開発されていますが、特に1982年にBinnig とRohrerによって発明された走査トンネル顕微鏡は非常に大きなブレークスルーでした。今日ではAFMやスピンSTMなど種々の走査プローブ顕微鏡が開発され、像としてはたんぱく質などの水溶液中の動的挙動まで見えるようになり、物性測定手段としても個々の原子・分子の電子状態やダイナミクスの研究が進んでいます。応用分野での発展は、1998年の米国国家ナノテクノロジー・イニシアティブで盛んになったナノテクが大きな追い風になりました。物質がナノサイズになると表面の寄与が数十%になり、表面制御無くして結晶性、機能性の良い物質は作れません。2014年にノーベル賞を受賞した赤崎、天野、中村の青色発光ダイオードは、表面での結晶成長法である有機金属気相成長法で成功した良い例と言えます。このように、表面科学は学術面だけでなく産業技術の基盤にもなっているため、多方面に渡って社会の発展に役立ってきました。
 本年度はISSS8や学術講演会など例年の行事と並行して、来年4月の日本表面科学会と日本真空学会の合併に向けた作業を進めています。合併により、真空関連の新しい活動が増え、知識の多様化と深化がより一層図れるようになります。
 これからも、会員の皆様が上記のように発展著しい表面科学に真空の知識も加え、産業界・学界で最先端の活動ができるよう、ひいては持続可能な先進的で豊かな社会の実現につながりますよう、学会としての活動を進めていく所存です。今後とも、皆様のご意見、ご協力をどうぞよろしくお願い致します。

平成29年5月20日
奈良先端科学技術大学院大学・教授
大門 寛

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